こどもたちをムシ歯から守るためにお父さんお母さんは日々、歯磨きを頑張っている。
もちろんぼくも小児歯科医として、ムシ歯から娘を守るべく日々、歯磨きを頑張っている。
ではムシ歯にしないためには歯磨き以外の何を頑張ればいいのか。
今日はぼくが実践している娘をムシ歯にしないために実践している3つのことをお話したいと思う。
①フッ素入り歯磨き粉を使う
②おやつジュースはささっと食べる。そして最後はお茶かお水で流す
③「自分が」ムシ歯にならないように歯磨きする
①の歯磨き粉の種類に関しては先日のブログ(小児歯科医が1歳の娘にチョイスした歯磨き粉とは?)で述べた。
今回はフッ素の効果について説明する。
フッ素には細菌を弱らせる役割と歯を強くする役割がある。
前者の細菌を弱らせるとは正確に言うと、細菌が酸を出す代謝経路を阻害するということ。
ムシ歯は細菌が出す酸で歯を溶かすので、これを邪魔すればムシ歯ができにくくなる。
また後者の歯を強くするとは、歯の成分(ハイドロキシアパタイト)にフッ素が入ると、歯の成分が変わる(フルオロアパタイト)ということだ。この変化したフルオロアパタイトは酸に対して溶けにくくなるので、結果としてムシ歯ができにくくなる。
この2つの効果を期待してぼくは娘にフッ素ジェルを毎日使っている。
歯磨きはそこまで重要じゃない。歯磨きはあくまで習慣づけのためであり、ムシ歯予防の主体はフッ素に頼っている。
②飲食したらお茶かお水で流す。
本当はおやつをなくしたい。おやつを食べずに毎日3回のみの食事だけであればよっぽどムシ歯はできないだろう。
しかし、育児とはそうはいかない。
保育園では当たり前のようにおやつは出る。
じじばばの家に預けると必ず何か食べさせてくれる。
こどもは食べると機嫌がよくなるし、じじばばもそれを生きがいのように楽しんでいる。
それなのに「おやつを食べないようにしなさい」という保健指導はなかなか酷ではないだろうか。
子どもを取り巻く毎日の楽しみを奪ってまで行う保健指導は必ずしも実践に繋がらない。
自分が子を持ち、仕事をしながら育てていく中でこれなら出来ると感じたことを伝えるようにしている
「おやつ、ジュースはささっと食べてね。食べたらお茶かお水でうがいしてね。」
おやつ、ジュースを口の中から早く無くす、少しでも早く。
これだけでムシ歯のリスクを下げられる。難しくない。最初のステップとしてはこれでいいのだ。
③「自分が」ムシ歯にならないように歯磨きをする
ムシ歯菌は最初から赤ちゃんの口の中にいるわけではない。
親から感染するのだ。
その親のムシ歯菌をなくすことが大切なのだ。
最近お母さんはネット上でこのような情報を仕入れている。
「食具の共有とか口移しをしないように。」
この説は正しい。が、実際に自分が親になり、食事を一緒に食べるときその難しさを知った。
完璧に出来るわけない。やればやるほど食事が楽しくなくなる。
こんな保健指導は酷だ。
なのでぼくはお父さんお母さんにこう言っている。
「お父さんお母さん、虫歯はありませんか?毎日のご自身の歯磨きを頑張ってくださいね。」
「お父さんお母さんの口のきれいさが、将来のこどもさんのムシ歯予防につながりますよ。」と
親は子の幸せ、健康を第一に考えるが、自分のこととなるとなおざりになりやすい。
以上がぼくが実践している娘をムシ歯にしないために実践している3つのことだ。
歯磨き以外でもやれることはたくさんある。むしろ歯磨きに苦しんでいるお父さんお母さんには今日お話ししたことを実践してみてほしい。
余談
最近、娘は6時くらいに起きる。
ぼくがその時間に出勤しようとすると、泣きながら抱きついてくる。
「あ!あ!」と言いながら。まだ確かな言葉は出てこない。
父とのしばしの別れを悲しんでくれていると、勝手に思っている。
「ああ、これが世のお父さんの最も一番の幸せな瞬間のひとつなんだな。」
と、噛みしめている。親バカだろうか。
おかげでお父さんは今日も仕事が頑張れます。
ほりえこども歯科クリニック
堀江将史